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与信管理

平成25年7月24日

4.与信判定会議

今回は与信判定会議についてお話をいたします。前回までのお話で取引先に信用不安の兆候が現れたとき、このまま取引を継続してよいのか、あるいは取引条件の変更、そして最悪の場合は取引を停止することまでを視野に入れるべきか、検討が必要となります。これらの情報分析、判断を担当者任せにしてはいけません。とかく担当者は自己の担当する取引先に思い入れがあるので、判断が鈍りがちです。担当外の複数人による協議が必要です。

そこでまず考えなければならないのは、「どのような場合に与信判定会議を開くか」についてです。これは形式的に割り切った基準を設けなければなりません。なぜなら、与信判定会議の開催を求めるための最初のボタンを押す(信用不安の情報を上層部に上げる)のは、現場の担当者だからです。現場担当者は自己の取引先に思い入れがあるので、担当者の判断によって開催の要否を判断させるべきではありません。また、会議を開催しても「不安無し」あるいは「静観」の結論が出た場合には、「無駄な会議の開催を求めた」として人事考査でマイナスに評価されることをおそれて、必要な会議の開催までも求めない危険性があるからです。そこで、できる限り客観的な事項をポイント化し、何点以上になれば必然的に判定会議を開催することにすべきです。例えば、支払いが1日遅れたら何点、支払い遅れ1回に付き何点とすることです。形式的な基準ですから、必ずしも実情にあわずに会議において「不安無し」あるいは「静観」の結論が出ることもあります。しかしそれは決して無意味ではありません。そのような会議を重ねることが観察眼を養うことになり、また他社に対する注意を喚起することにもなります。さらに、会議において担当者に説明をさせることは、担当者のトレーニングとしては非常に効果的です。自己の観察が客観的にどのように評価されるのかを知ることにより実力がアップすることは、今後の稟議書に如実に表れることになるでしょう。

次に判定会議の内容ですが、取引先を次の4分類に仕分けすることになります。

第1分類(通常取引先ないし注意先)

これは、支払いの遅滞が生じたとしても偶発的な事情によるものであり、すぐに信用状態が回復しているなど、アクシデントはあったものの通常の取引を続けても良いと判断されるものです。しかしながら、支払い遅滞が生じること自体、財務体質が弱いとの評価を免れませんので、今後の観察が必要となるでしょう。

第2分類(破綻懸念先)

これは、納品納期の遅れ、仕上げの粗雑、小さなミスの頻発など、一つ一つは大きな問題となる程でなくとも積み重なると重要な意味を持つ問題です。また、現金払いから手形払い、自己振出手形から廻り手形へ、支払期日の延長(手形ジャンプ)などの変化が有る先で、明らかに信用状況に不安が生じています。これらの取引先に対しては、新規契約の停止、既受注については現金と引換えに納品するとか、新たな担保・保証人を徴求するとか、その他の方法により取引を縮小させていくなど、積極的な対応が必要です。もちろん、日々の情報収集は必要不可欠ですので、会社の商業登記、社長の個人資産の調査などを洗い直す必要があります。

第3分類(破綻先)

これは手形小切手の不渡りを一度でも出したもの(御社に無関係なものを含みます。)債権者や官公庁より差押えを受けたもの、御社への支払いを多数回遅滞したもの、あるいは未払い残高が基準に達したものなどです。これらの取引先に対しては今後の取引を停止し、売掛金の回収にかからなければなりません。担保・保証人の保全状況を把握し、場合によっては弁護士に相談して裁判所の仮差押命令を申し立てるなど、法的手段を講じなければならない場合があります。

第4分類(法的手続き先)

手形小切手の不渡りを2回以上出して銀行取引停止処分を受けたもの、弁護士より法的整理の為の受任通知があったもの、破産・民事再生等を申立があったものなどです。これらの取引先については、できることは限られていますので、速やかに弁護士に相談されることをお勧めします。

これらの中で最も重要なのは第2分類と第3分類です。また第1分類であっても第2分類への移行が短時日になることもあります。これらの要件に当てはまっているのにそれを見逃すと多大な損失を負うことになりますので、日頃からの観察と判断が必要となります。

以上、4回に分けてお話を致しましたが、やはり取引を開始する前にも、また取引中にも情報収集と分析は必要不可欠ということに尽きると思います。

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