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登記問題あれこれ

令和元年6月13日

7.会社をつくる(設立登記4)

今回は会社の本店と会社の目的についてみていこうと思います。

 

会社法第4条

会社の住所は、その本店の所在地にあるものとする。

とあります。例えば「人」を特定するとき、何処どこの誰々さんというように、契約書などでも住所・氏名は必ず書いて、誰が契約したかを特定します。同じように会社も住所である本店と名前である商号で特定されます。そのため定款の絶対的記載事項であり、登記事項となっています。そして、その本店の所在地を管轄する法務局がその会社の管轄法務局となります。

定款に記載する本店所在地と、登記事項となる本店には、少し違いがあります。

定款に記載する本店所在地は、「最小行政区画」まで記載すればいいのですが、登記は番地まで記載しなければいけません。

「最小行政区画」というのは、市区町村のことですがここでの区は特別区のことで、東京都の23区のことです。大阪市などの政令指定都市の行政区のことではありませんので、大阪市中央区の場合「当社は本店を大阪市に置く。」と記載すれば足り、必ず「大阪市中央区に置く」と記載する必要はありません。もっとも記載しなくてもいいという事で、記載できないわけではありません。「最小行政区画」までは特定せよということで、もっと詳細に番地まで部屋番号まで記載しても構いません。

それに対して、登記事項としての本店は、人の住所と同じように番地まで特定することとなっています。ただし、本店所在地にビル名や部屋番号を入れるかどうかについては、完全にその会社の自由です。ただ、テナントビルなどで看板なども大きくない場合や、マンションの部屋を本店にしている場合などでは、行政などからの郵便物が届かないということもありますので、そんなときは部屋番号や階数などを入れておいたほうがいいと考えます。

定款で本店所在地を「最小行政区画」まで定めている場合と、番地まで定めている場合で何か違いがあるかといいますと、会社設立登記の場合には定款で番地まで定めておけば、本店を証する書面として定款の記載を援用すれば足りますが、番地まで定めていない場合には別途「本店所在地決定書」といったような書類が必要となります。次に会社の設立後に本店を移転する場合には、ケースによりますが手続が変わることがあります。手続に違いが出るケースは、例えば大阪市内に本店を定めている会社が、同じ大阪市内で本店を移転した場合で定款の記載が「当社の本店は、大阪市に置く。」となっているとき、同じ大阪市内への本店移転は取締役の決議で決めることが出来ます。対して定款に本店の番地まで定めていた場合には、本店移転をする事について定款を書き換えないといけないので、定款変更決議が必要となります。定款変更決議をするためには、株主総会を開かなければならなく、その決議要件も、出席者の過半数の賛成でよい普通決議とは違い、議決権の過半数を有する株主の出席でその議決権の3分の2の賛成がなければ可決されない特別決議が必要となるので、株主の多い会社などでは大変な作業になります。また他の最小行政区画への本店移転の場合には、必ず定款変更の手続を伴いますので同じ手続が必要になります。

実際には、本店を他の市町村に移すということは比較的少ないので定款には最小行政区画までというところが多いです。

ほかには許認可や補助金などの関係で、本店を自宅の住所にしている会社もあります。

 

次に会社の目的についてみてみます。

会社の目的というのは、その会社が何をする会社かを決めたものです。この会社の目的も定款の絶対的記載事項であり、登記事項です。

どの様に目的を決めるかといいますと、まず「明確性」「営利性」「適法性」ということを考えて自分がその会社で何をしてお金を稼いでいくのかということを箇条書きにしていきます。

まず、「明確性」というのは、一般の方がその会社の登記事項証明書を見たときに、その会社が何をしている会社かということがわかること。日本語であること。専門用語や外国語をそのままカタカナ表記で記載しても一部の者にしか理解できないというものは、登記されないことが多いです。

「営利性」というのは、会社とは営利を目的とした社団法人であるので、会社の目的の中に必ず財産上の利益を得ることを入れなければなりません。

「適法性」は、公序良俗に反しないこと。違法性のないこと。ほかの法律で禁止されていないこと。などがあります。ほかの法律で禁止されていないことというのは、例えば登記申請書の作成などを目的とすることは、司法書士法人以外では禁止されていますので目的として載せることは出来ません。

また、商法の時代には類似商号に関係して会社の目的として使用できる言葉などが非常に細かく決められていたことが多かったのですが、例えばパソコンとはかけなくてパーソナルコンピュータと書かないと登記が通らなかったり、法務局によっても基準がまちまちであったりしていて、会社設立の際には必ず管轄の法務局と打ち合わせをして定款を作っていました。しかし会社法になって上記の「明確性」「営利性」「適法性」を守っていれば大体登記できるようになりました。

会社の目的は、目的ごとに番号を付けて個条書きで書くのですが、何個までという規制はなく、実際にはやっていない事業ですが将来はその事業をしようと考えている事業も書くことが出来ます。目的を変える場合、必ず定款変更の手続が必要となりますし、登録免許税もその都度3万円かかりますので、将来を見越していくつか目的に加えている会社もあります。ただし、あまり多くを目的に挙げていると、その会社と取引をしようとしている方が登記事項証明書を見たときに、その会社が一体何をやっている会社なのかがわからないので怪しんで取引を考えるということもありますし、銀行なども融資の際二の足を踏むということがあるといいますので、実際に行っている事業は目的に挙げておかないといけませんが、やっていない事業についてはあまり多く目的に挙げるのも考えないといけないと思います。

目的を挙げていく場合、決まりはないのですが1番にその会社の主要な事業を書きます。あとは上から順にその会社が力を入れている又は力を入れていこうという事業を列挙していきます。そして一番最後に「上記に附帯関連する一切の事業」というものを入れておきます。

あと会社の目的で注意するのは、許認可の絡む事業です。許認可を受ける場合必ず定款や登記事項証明書を提出しなければなりませんが、その提出する定款や登記事項証明書の目的欄に必ずその許認可を受ける事業を記載しなければならないのはもちろんのこと、許認可によっては定款や登記事項証明書の目的欄に記載する事業内容が必ずこう書かなければならないと決まっているものもありますので、許認可が絡む事業を考えている方は、目的を決める際は専門家と相談されることをお勧めします。

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