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登記問題あれこれ

平成31年3月11日

6.会社をつくる(設立登記3)

前回から引き続き会社の商号についてです。前回、会社の種類に従って商号の中に「株式会社」や「合同会社」などを商号の一部として入れないといけないということを書きましたが、今回は商号の会社の種類以外の部分についてです。

 

商号自由の原則

会社にどの様な名前を付けるかについては、基本的には会社をつくる人の考えで自由に付けることが出来ます。自分がこれから行う事業について自分の理念を表すような名前であったり、みんなに覚えて貰いやすい名前であったり、何をする会社が一目でわかるようなものであったり、自分の名前を入れたものであったり様々で、どの様な名前にするかはその人の自由です。

 

ただし、そこには一定のルールが存在します。

会社法第8条

① 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号 を使用してはならない。

② 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

というように「不正の目的」をもって「他の会社であると誤認」されるおそれのある商号は使用できません。

では、「不正の目的」がなければ「他の会社と誤認」されるおそれがある商号を使用することが出来るかといいますと

 

不正競争防止法

① 他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

として商号が挙げられています。

そして第4条の損害賠償請求のところに「故意又は過失」によってとされているので、会社法第8条の「不正の目的」だけでなく過失であっても損害賠償請求されますよとなっています。

 

類似商号の規制

会社法になる前の商法の頃には「類似商号の規制」というものがあり、同一市町村(政令指定都市等では区)内での類似の商号については使用することが出来なかったのですが、会社法に代わってからは、同一本店で同一の商号のみが規制の対象となりました。

インターネットの普及などで同一地域のみの類似商号の規制にあまり意味が無くなったこと、そのことについて会社設立登記を提出された法務局が全国の会社について調査することが煩雑であることなどの理由から法務局では類似商号で却下されるという事はなくなりました。

 

使える文字

読めること。書けること。

法務省で定められている商号として使える文字は、日本文字(漢字・ひらがな・カタカナ)、ローマ字(大文字及び小文字)、アラビヤ数字、 符号として「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「-」(ハイフン)、「.」(ピリオド)、「・」(中点)となります。ただし、符号が使用できるのは、字句(日本文字を含む。)を区切るために使用する場合に限られています。従いまして、商号の先頭や末尾に用いることはできません。ただし,「.」(ピリオド)については,その直前にローマ字を用いた場合に省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。

なお,ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限って、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。それ以外の場合で文字の間にスペースを入れても、登記上は詰まった形になります。

日本文字とアルファベットやアラビヤ数字が混ざった商号も使用することが出来ます。

ハングル文字やアラビヤ文字(数字を除く)などは使用することは出来ません。

@!?%「」なども商号として使用することは出来ません。

ローマ数字ⅰⅱも商号として使用することは出来ません。

「支店」「支社」「事業部」などは使えません。「営業所」は使えます。

 

平成14年の商業登記規則等改正によってローマ字やアラビヤ数字が使えるようになったことで、随分商号の幅が増えました。以前カタカナで登記していた会社が登記上もローマ字表記に変えたところも結構あります。

  

公序良俗に反しないことや他人の氏名権を害するもの

たとえば、「オレオレ詐欺株式会社」や「株式会社 強盗」などの道徳などに反するような言葉やわいせつな言葉や文字を使用することは出来ません。

また、著名人の名前を勝手に使用したりすることも出来ません。

さらに、公序違反の問題に関して、公益上の維持ないし保護法益の存在が考えられる場合があります。例えば、仮に「株式会社大阪市○○支所」や「株式会社大阪市○○センター」の名称を使用するとか、商号中に「警察庁」、「警視庁」という名称を使用する場合、これら行政庁等の名称をそのまま使用し、あるいは類似名称の使用によってこれと取引する一般公衆に官公署と混同誤認させて不測の損害を与えるものと判断出来る場合は、その使用を全ての場合とは限りませんが、その使用目的によっては制限されることとになります。

各種法令による制限

銀行、信託等の各業務を営むものでないものは、銀行、信託等の文字を用いる事は、銀行法や、信託業法で禁止されています。同様に、保険業を営む会社はさらに主たる保険業の種類を示すことを要するとされ、併せて銀行等と同様の名称使用制限が保険業法で設けられています。その他、各種の法令で名称等の使用制限がなされている場合があります。

ただし、例えば「アイバンク」や「血液銀行」のように、銀行業でないことが明らかな場合などは使える場合もあります。

 

といったような制限があります。

 

類似商号の調査

3.で書いたように類似商号の規制はなくなりましたが、やはり1.や2.の規制がありますので、類似商号の調査はしておく必要があると思います。ただし、前と違って今はインターネットがありますから調査もインターネットですることが出来ます。ヤフーやグーグルなどで考えた名前を入れてみて類似の商号がないかをチェックして、登記情報サービスや法務省の登記ネットで調べて、商標については特許情報プラットホームなどで調べるといいでしょう。

 

商号についてはこのくらいで、次は本店所在地と会社の目的についてみていこうと思います。

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