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登記問題あれこれ

平成27年11月2日

2.住所変更登記について

住所変更登記、正式には所有権登記名義人住所変更登記。少し前までは、所有権登記名義人表示変更登記といっていました。司法書士や、不動産業者や登記所などでは、「名変」といっていますが、一般に名義変更と言えば、所有者自体がかわる、例えば「おじいさんが亡くなったからあの土地、お父さんに名義変更してください。」そんな使われ方がしています。

 

その名変登記、住所を変更したり結婚して名字がかわったりそんな時にする登記なのですが、別に引っ越しする度に所有している不動産全部についてこの住所変更の登記をしなければいけないかというとそういうわけではなく、その所有物件を売る場合や、その不動産に担保をつける場合など、その所有物件に対して何かするというときに、登記簿上の住所などの表示と、現在の住所が違う時に、例えば所有権移転登記の前提として登記します。住所変更登記は、住所移転という事実を原因とする登記ですので、他者との権利関係はなく、所有者等名義人の単独で出来る登記であり、添付書類も住所が移転したということを証する書面として通常は、住民票を添付して申請します。また、住所移転が1回ではなく数回にわたる場合は、戸籍附票を添付して申請します。

 

このように他者との権利関係もなく、住民票等を添付すれば出来る登記ですので1番易しい登記申請ではあります。

 

しかし、この一番簡単な登記である住所変更登記も長い期間手続をしないでおくと、大変面倒な登記になることもあります。数回の住所移転がなされている場合で、その間に、役所の住民票の除票の保存期間が切れた場合(通常、除票となって5年)には、住民票で住所の沿革を追うことが出来なくなります。とはいえ、戸籍の付票によって住所の沿革を追うことが出来ます。戸籍の付票も住民票と同様に、除票となれば5年で保存期間が満了しますが、普通、住所と違い本籍地を頻繁に移す方は少ないので、住民票で沿革がつかなくても戸籍の付票で住所の沿革がつくケースがほとんどでしたが、たまに婚姻などで戸籍が代わる場合や、住所移転の度に本籍地を移される方もいますので注意は必要です。それに最近では、どの役所も戸籍をコンピュータ化していますので、コンピュータ化に伴う改製がなされ、そのために戸籍附票も改製がなされその後5年で保存期間が満了し、最近の住所しか記載されていない戸籍附票しか交付されず、住所の沿革がつかないケースがしばしばあるようになりました。(役所によっては、5年を過ぎても改製原附票を交付しているところもあります。)このような住所の沿革がつかない場合ですと登記簿上の所有者の表示と実際の所有者の方の印鑑証明書や、運転免許証などの表示がつながらなく所有者を特定することが難しくなります。実際の登記申請では所有者の方に上申書を書いていただき、権利取得の際の権利証を添付して住所移転の登記を申請することになります。

 

また、このように簡単であるという住所移転の登記ですが、通常何かの登記(所有権移転や抵当権設定登記など)の前提として登記ますので、この住所移転登記を忘れると大変です。この住所移転の登記を申請することを忘れた場合、必ずその後の登記は取り下げ又は却下されてしまいます。後から入れてくれるということは全くありません。ですから取り下げられた登記に住所変更登記を前につけて再度申請することになります。そうなりますと当然に当初申請したときと受付日や受付番号などが違ってきます。それでも問題のない場合もあるのですが、特に抵当権設定登記など登記の順位が非常に大切ですので通常金融機関は登記所の受付番号が記載されている受理証というものを要求してきますが、取り下げもしくは却下となりますと、再度住所変更登記をしなければならず、受付番号が違うようになるだけでなく、受付日も違ってきます。これだけでもその申請をした司法書士の信用がなくなりますし、場合によってはその金融機関の仕事が無くなります。その上万が一その期間に他の登記(抵当権設定登記など)が申請された場合、損害の賠償を求められるようなことにもなります。

 

普通は、司法書士は住所変更登記については非常に気をつけているのですが、まれに数回に分けて贈与などで持分を少しずつ移転しているようなケースで、その内の1回だけ住所が違うケース、それも近くで住所を移されて町名までは同じで番地だけが違うケースなどあり、申請直前で気付き大あわてになるようなことがあります。このような場合でも当然に登記は取り下げ却下となりますので本当に注意が必要です。

住所変更登記は、簡単な登記だからといって、注意を怠ると本当に取り返しがつかないことになるかも知れない、要注意の登記だと言えます。

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