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渉外関係 連載

6.渉外関係エトセトラ 売買契約(3)「紛争解決方法・準拠法の問題について」

前回は、紛争解決方法のうち、裁判管轄の問題について比較的詳しくご紹介しました。今回も、引き続き紛争解決方法の要素である準拠法の問題について見ていきたいと思います。

裁判管轄(Jurisdiction)がどこの(国)の裁判所に訴えるかの問題であるのに対し、準拠法(Governing law)は、契約の解釈をどのようなルールに基づいて判断するかという問題です。

裁判管轄の問題もそうなのですが、準拠法について契約書に書かなければならないという義務はありません。では、ない場合どうなるのでしょうか。

もし、準拠法に関する条項を入れなかった場合、訴訟が提起された国の裁判所(普通は管轄合意のある裁判所)の国際私法(抵触法)(International private law, Conflict of laws)の規定により、契約類型に従い準拠法が選択されることになります。現在、各国の国際私法は統一されておらず、また、裁判所の事実認定方法も多様なので、どこの国の法律が適用されるか予測が難しいところです。例えば、日本に住む売り主とスリランカに住む買い主との紛争の例では、おそらく、日本またはスリランカのどちらかの準拠法となるでしょうが、予測は難しいところです。提訴との関連で、裁判管轄が買い主の住所地国に認められてしまうと、裁判の便宜もあり、買い主の住所地国の法律が安易に準拠法として選択されかねません。

そこで、売買契約を締結するに際し、予め当事者間の契約の準拠法を決めておくことが便宜です。日本を始め多くの国々では、当事者間にその選択を認めています(これを当事者自治といいます)ので、原則として準拠法選択の合意は尊重されます。

もちろん、準拠法は、貴社が日頃の商取引で馴染んでおられる日本の法律にされることが便宜です。また、相手からの提訴を抑止する効果もあります。管轄の問題と同じことが言えます。

もっとも、製造物責任(Product liability)、消費者保護(Consumer protection)、労働問題(Labor affairs)などの問題については、公序(Public order)にかかわる問題として、当事者自治が制限されるのです。例えば、外国製品を外国の製造者(売り主)から日本に輸入するに際し、製造物責任のない国の法律に準拠し、かつ、契約書で製造物責任の排除を謳っていたとしても、欠陥が原因で日本の第三者が損害を受けた場合、売り主は損害賠償責任を免れません。当然のことです。

次回は、その他の異常時の対処規定について見ていきます。

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