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財産承継に役立つ制度

平成28年6月21日

4.遺留分

遺留分(いりゅうぶん)とは、「一定範囲の相続人につき、法律上当然に認められている、遺産に対する持分」のことをいいます。 例えば、被相続人が書いた遺言が、ある特定の法定相続人の「遺留分」を侵害するものであった場合、侵害された法定相続人は、侵害した法定相続人に対し、遺留分の権利を主張することができます。

 

各相続人の有する具体的遺留分割合は、それぞれの相続人の有する各法定相続分に遺留分割合を乗じて算出します。それぞれの相続人一人当たりの具体的遺留分の割合がどうなるかは、法定相続分と、同順位相続人の人数で決まることになります。同順位の相続人が複数いる場合、法定相続分は均等割になります。例えば子供が二人いる場合、子供一人当たりの法定相続分は、子供全部に割り当てられた法定相続分の2分の1になります。

相続人の範囲 法定相続分 遺留分割合 具体的遺留分割合
配偶者と子供(子供二人の場合) (配偶者)1/2
(子全員で)1/2
(配偶者)1/2
(子)1/2
(配偶者)1/4
(子一人当たり)1/8
配偶者と親(両親存命の場合) (配偶者)2/3
(直系尊属全員で)1/3
(配偶者)1/2
(直系尊属)1/2
(配偶者)1/3
(親1人当たり)1/12
配偶者と兄弟姉妹(兄弟二人の場合) (配偶者)3/4
(兄弟姉妹全員で)1/4
(配偶者)1/2
(兄弟姉妹)0
(配偶者)3/8
(兄弟姉妹一人当たり)0
子供のみ(子供二人の場合) (子全員で)1 (子)1/2 (子一人当たり)1/4
親のみ(両親存命の場合) (直系尊属全員で)1 (直系尊属)1/3 (親1人当たり)1/6
兄弟姉妹のみ(兄弟二人の場合) (兄弟姉妹全員で)1 (兄弟姉妹)0 (兄弟姉妹一人当たり)0

被相続人の兄弟姉妹に遺留分は認められていません。

被相続人の親(直系尊属)のみが相続人の場合、その遺留分割合は3分の1です。

これら以外の場合は、遺留分は2分の1となっています。

 

例えば、夫が死亡し、妻と子供二人が相続人で、夫が「妻に全遺産を相続させる」という遺言を残した場なお合を考えてみます。

遺言どおりですと、妻は全遺産を相続できる一方、子供二人は何も相続できません。子供らは、それぞれ1/8の遺留分を侵害されていることになります。これは、妻(母)が全遺産を相続したからなので、各子供はそれぞれ妻(母)に対して侵害された遺留分の返還を求めることができます。これを遺留分減殺請求権と呼んでいます。

 

遺留分減殺請求権はあくまで「権利」ですので、行使する、しないは自由です。上記のような例ですと、「母親の生活に必要であろうし、いずれ残った分は自分達が相続することになる」ということもあり、遺留分減殺請求権が行使されないことも多いようです。

ただ、行使する場合は、遺留分権利者が、自分が相続人になる相続の開始と、自分の遺留分が侵害されていることを知ったときから1年内に行使しなければならないものとされています。

なお、遺留分減殺請求権は、遺言者の生前に放棄することも可能です。子供たちが「遺留分は主張しない」と言ってくれている場合でも、念のために事前に放棄しておいて貰えれば、安心して奥さんに全部の遺産を相続させるという遺言を遺せます。この場合の手続きは、お子さんが家庭裁判所に赴いて遺留分の放棄を申述して頂くことになります。用紙等は家庭裁判所に用意されていますので、戸籍謄本等の必要書類を事前に問い合わせて用意していけば、ちょっと面倒ではありますが、難しい手続きではありません。

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