トップページ  >  連載  >  独占禁止法22

独占禁止法

平成28年8月3日

22.継続的な取引契約締結に際し、独禁法の拘束条件付取引(一般指定12項)として無効にされないためのチェック事項

契約自由と独禁法

経済活動の基本をなす取引は、基本的に継続的活動を前提にするものです。材料の調達・生産・販売の過程で継続的取引を維持することが企業の利益確保に結び付きます。特に、継続的取引契約が企業間の取引の基本になります。

契約は、当事者を拘束するものであり、独禁法の観点から、許される拘束と許されない拘束とを選別する必要があります。

中でも、不公正な取引方法のうち一般指定12項(拘束条件付取引)は、その内容が多様であり、「不当に」について、拘束の態様・効果は様々であり、一律に「不当に」の基準を定めることはできなとされています。基準を明確にするため、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(以下、「流通ガイドライン」といいます。)が平成27年3月に改正されましたが、専門家でもわかりにくいものです。

そこで、契約書のドラフトを作成するうえで、一般指定12項に当たり、独禁法19条に違反します、と言われないように、どのような点に気を付けて契約を締結すべきか、あるいは、貴社が取引相手に比して、力関係において劣っている場合において、本来独禁法から許されない契約を押し付けられていないか、チェックする上で、ポイントをまとめてみました。

なお、厳密には、独禁法では、契約書に書いてあること自体を問題にするのではなく、契約書に書いてあるか否かにかかわらず、現実に「不当に」他方の事業活動が拘束されているかが、違法・適法の区別基準になっています。しかし、一般には、契約に書いてあること自体、実効性をもってその内容が契約当事者により履行されると見られるので、契約の内容を検討することにします。

契約条項

拘束条件付取引の観点から審査が必要な主な継続的取引契約条項類型は以下の通りです。

①商品内容

・取扱商品制限条項 例、取引継続中・継続後の競争品の取扱制限

  

②販売価格

・販売価格拘束 例、フランチャイザーから提供された商品以外の物の販売価格を制限する、パーマ液メーカーが美容院に対し、パーマの最低料金以下の料金を禁止する。

③販売・仕入地域

・テリトリー条項 例、メーカー等による流通業者の販売地域に関する制限クローズドテリトリー(1地域1販売業者)、オープンテリトリー(1地域複数業者)

 

④取引先

・帳合取引条項 例、メーカーが卸売業者に対し、その販売先である小売先を特定させ、その販売先である小売業者が特定の卸売業者としか取引できないようにする、特に、小売業者の仕入先卸売業者を一つに限定する(一店一帳合制)

・仲間取引(横流し)禁止条項 例、販売業者が商品を他の販売業者に販売する(横流し)ことの禁止

・仕入先の指定条項 例、フランチャイザーが商品の仕入れ先を指定する、供給者が購入者に対して、供給者の仕入先からの直接の仕入れを禁止する

⑤販売・仕入方法

・誘引方法制限条項 例、対面販売、顧客コンサルティング、

・間接的販売方法制限条項 例、卸売業者をして小売業者の販売方法を制限させる

・品質管理条項 例、食品の保管方法、検査方法の指定

・材料購入義務

 

・最低購入量条項 一定期間内に最低どれだけの商品を購入すべきか義務付ける

・販売目標 一定の期間内にこれだけの商品を得るよう努力義務を課す

・ブランドイメージ条項 例、商標の利用方法、ラッピング、店舗、ショーウインドウの飾り付け、 

・納品方法条項

 

・見切り販売禁止条項

 

⑥その他

・競業避止条項 例、契約終了後、一定の営業について、場所・期間禁止する

・情報提供義務 例、商標権の侵害の事実、販売価格

・リベー卜条項 仕切価格とは区別されて取引先に制度的にまたは個別の取引ごとに金銭を支払 う。仕切価格の修正としての性格を有するもの、販売促進を目的としたもの、メーカーが自己の商品の取引比率を高めるために自己の商品を優先的に販売した者に対しリベートを支払うもの(占有率リベート)

・在庫品(売れ残り品)買取条項

・再委託禁止条項

・瑕疵担保・保証条項

・秘密保持条項

・上記までのそれぞれの有効期間

なお、取引先の制限(転売禁止)などを伴うときには、選択的流通(一定の条件を満たす取引相手(流通業者)のみを選別し取引する場合)に当たることがあります

 

それ以外にも、拘束条件付き取引と隣接する類似の契約類型があります。

 

(他条件付取引)

・排他的供給取引条項 供給者が相手方に対し自己の商品のみを販売することを条件として取引する

・排他的受入取引(一手販売、総代理店)条項

・排他的供給取引条項(専売店制)

(再販売価格の拘束)

・再販価格条項 供給者が相手方に対し再販売価格(最高又は最低価格の場合を含む)を指定する制度

 

(抱き合わせ販売)

・主たる商品と一緒に従たる商品をも抱き合わせて販売する

 

「不当に」の解釈が問題

契約はそもそも当事者を拘束するものであり、拘束条件です。その内容は、取引の自由から原則自由であり、行為態様のみから即自的に不当と判断されるものではありません。

独禁法においては、市場に対する影響がいかなる程度あるかの観点からその当否が判断されます。

結局、公正な競争を阻害するか(市場の競争秩序、メカニズム、機能を害するか、簡単に言えば、価格競争を中心とした、良質廉価な商品やサービスの需要と供給を巡っての競争をゆがめるか

 

この公正競争阻害性は、実に抽象的であり、定量的に表せないため、判断が難しいので、公表されているのが流通ガイドラインです。

流通ガイドラインを主な資料として、どのような契約が、拘束条件付き取引に当たるかについて、検討手順をフローチャートにしたものが次の図です。

top