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独占禁止法

平成25年8月29日

16.平成24年度の下請法の発動状況から

去る5月、公正取引委員会より、平成24年度における下請法の運用状況がリリースされました。これを受けて、日経新聞では、「下請法違反『指導』最多に」という見出しをつけていました。要は、

(1)指導について

①下請法違反で事業者を指導した件数は、前年度比5%増の4550件、過去最多を3年連続で更新

②下請業者側に返還された不当減額分などの総額は、約57億円、前年比約1.8倍で、過去最高額

(2)勧告について

前年度より2件少ない16件、このうち11件は、プライベートブランド(PB、自主企画)商品の製造委託を巡る事案で、小売卸売業者が下請代金を不当に減額するなど

これらの摘発の主たる端緒は、例年行われている、親事業者4000名弱およびその親事業者と取引のある下請事業者約21万名を対象とする書面調査の結果です。これに加えて、下請事業者等からの申告によるものが50件となっています。これも昨年とほぼ同じです。

また、違反行為の予防のために、公正取引委員会は親会社に対し、毎年、下請法の講習会を行ったり、下請法遵守の要請文書の送付などを行っています。

それでも、摘発の件数は増加の一途をたどっています。

公正取引委員会の事務総長は「長引く不況を背景に、下請業者にしわ寄せが来たのではないか」とコメントしていました。需要が萎み、デフレ下の中で厳しい競争が続く中で、企業はコストを下げられるところから下げていく。勢い、取引上の弱者である中小企業が狙われてしまう。中小企業は薄利でも取引がある方がましなので、隷属してしまう。このような評価のもとになる生の事実は、私たちが、日々の相談の中で、双方の企業関係者からしばしば耳にすることです。

では、平成24年度における勧告事件の内容はどのようなものであったでしょうか。

一覧にすると下記の表のようになります。

  関係人(注1) 分野 違反内容(注2) 違反内容(注2) その他(注3)
対象下請事業者数(名) 減額金額(円) 対象下請事業者数(名) 金額(円)
1 (株)コナカ【措置請求】 製造 減額(値引き) 10 30,736,907    
2 (株)ブルーベル 製造 減額(歩引き) 49 54,473,654    
3 (株)マーナ 製造 減額(事務手数料等) 16 22,887,807    
4 生活協同組合コープさっぽろ 製造 減額(月次リベート等) 8 28,379,880    
5 アイリスオーヤマ(株) 製造 減額(手数料等) 36 19,773,581    
6 (株)ジュニアー 製造 減額(歩引) 55 15,008,485    
7 (株)ライトオン 製造 減額(リベート等)返品上段
不当な経済上の利益の提供要請(返品送料)下段
7 16,213,730 11 123,642,360
8 2,795,700
8  (株)パレモ 製造   10 23,272,972 11  5,391,750
9 (株)ニッセン 製造 減額(事務手数料)返品上段
不当な経済上の利益の提供要請(返品送料)下段
133 14,108,202 102 28,410,799
75 405,600
10 日本生活協同組合連合会 製造 減額(エリアバイイング等)返品上段
不当な経済上の利益の提供要請(商品の組合員テスト費用)下段
449 2,563,317,863 6 4,844,920
24 2,621,889
11 藤久(株) 製造 減額(仕入割引等) 78 74,146,867    
12 フジモリ産業(株) 製造 減額(金利引振込) 15 15,136,963    
13 (株)サンゲツ【措置請求】 製造 減額(見本帳協力金等)不当な経済上の利益の提供要請(自社のショールームに展示するためのインテリア製品) 63 557,010,481 38 4,782,722
14 (株)TBK 製造 減額(遡及適用等) 59 36,412,290    
15 (株)山櫻 製造 減額(販売協力金) 16 35,070,349    
16 (株)フェリシモ 製造 受領拒否     88 86,082,291

(注1)「関係人」欄中「【措置請求】」の記載のあるものは、中小企業庁長官から措置請求があった事件である。

(注2)違反に係る下請取引が複数分野ある事件では、下請事業者が被った不利益が大きいものから記載している。

(注3)「その他」欄の「金額」欄には、減額以外の事件について下請事業者が被った不利益の額を記載した。

(以上、公正取引委員会のホームページより抜粋)

 

平成23年度の実績のコメントで申し上げたことが、今回も当てはまります。

 

今年度のもっともらしい名目は、「値引き」、「歩引き」、「事務手数料等」、「月次、年次リベート」、「協賛値引き」、「エリアバイイング」、「全国条件販促企画条件」、「新発売・リニューアル・追加販促企画条件」、「生産支援情報」、「販促ツール作成費用」、「販促コンテスト協賛費用」として、下請代金の額に一定率を乗じて得た額を下請代金の額から減じる方法でした(代金減額)。

 

特に、生活協同組合事件は、下請いじめが日本経済の持続低音となっていることの象徴ともいえます。生活協同組合は、法律に基づき、「国民の自発的な生活協同組織の発達」、「国民生活の安定と生活文化の向上」を目的として設立された組織です。消費生活協同組合(会員)の利益を尊重していたことはその方向性に合いますが、そのディスカウント価格に下請事業者(食料品等の製造受託)の納品価格を連動させてまでというのには呆れます。

 

販売期間の終了した在庫商品を引き取らされるケースもありました(返品)。返品には、返品に係る送料の負担も抱き合わされることもよく見られています(不当な経済上の利益の提供要請)。

 

最後に、今の取引の有り様を、所与のものとして見るのではなく、一度距離を置いて、これは一体公正な取引なのかどうか、もう一度観察してみてください。中小企業は、一人で交渉しにくければ、他の同業者とタッグを組むことだって考えられます。

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