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独占禁止法

平成25年5月23日

14.中小企業から見た独禁法 ―報復措置―

今回は、報復措置です。報復措置は、平成23年度の勧告(18件)中0件です。指導(11の違法類型に係るもの2,286件)の中でも、0件です。下請事業者が親事業者の違反行為を規制当局に通報したことで、取引停止など報復行為が放置されれば、結局、報復を恐れて通報できなくなってしまいます。

報復措置

(1)条文

第4条 

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。

七 親事業者が第1号若しくは第2号に掲げる行為をしている場合若しくは第3号から前号までに掲げる行為をした場合又は親事業者について次項各号の一に該当する事実があると認められる場合に下請事業者が公正取引委員会又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として,取引の数量を減じ,取引を停止し,その他不利益な取扱いをすること。

 

(2)意義・趣旨

下請事業者が、公正取引員会などの規制当局に対し、現に受けている親事業者の違反行為について相談する場合があります。

親事業者がこの下請事業者の通告を知った場合、下請事業者に対し、密告の報復として、取引停止などの措置を採ってくる恐れがあります。

このような親事業者の報復措置を放置するなら、結局、他の10の違反行為の禁止規定の効果が半減してしまいます。

そこで、報復措置の禁止が規定されました。

  

(3)適用例

平成23年度の勧告件数は、18件中0件、平成23年度の指導件数(11禁止行為類型に限る。)は、2,286件中0件(0%)です。

例えば、直接通報した下請事業者との取引停止、取引量の削減を始めとする先に述べた1の違反行為が想定されます。

 

しかし、昭和37年に報復措置の禁止が規定され比較的古い歴史(下請法の制定は昭和31年です。)を持つのですが、実際に適用された事例はないようです。

その説明としては、実際に、本規定が実効性をもって機能しているから、適用されていないのか、規制当局において、多くは下請事業者に対する書面調査に基づいて下請法を発動しているところ、書面調査から捕捉しがたいのか、下請事業者の業務を阻害するようないやがらせ行為など間接的な行為は対象になっていないから実効性を持っていないのか、色々想像はできますが、はっきりと断定はできないところです。

 

なお、親事業者に単価の引き上げを申し入れたところ、一方的に支払を遅らされたとか、代金を減額されたという事例は、動機において報復の意図も読み取れるところですが、規制当局に対する通報が先行していないので、支払遅延(下請法4条1項2号)、代金減額(同項3号)が適用されることになります。

 

(4)最後に

昨日、公正取引委員会は、2012年度に下請法違反で勧告または指導した件数を公表しました。前年度比5%増の4,550件で過去最多を3年連続で更新したとのことです。また、下請業者側に返還された不当減額分などの総額は約57億円。前年度の約1.8倍にふくらみ、過去最高額になりました。「長引く不況を背景に、下請業者にしわ寄せが来たのではないか」とのコメントもありましたが、好況、不況を問わず、とれるところからとろうとするのが世の常、下請法を知り、是非、企業防衛に役立てて下さい。なお、詳しくは、公正取引委員会のサイトをご覧下さい。

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