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独占禁止法

平成25年5月16日

13.中小企業から見た独禁法 ―返品―

今回は、返品です。返品は、平成23年度の勧告(18件)中に3件あります。指導(11の違法類型に係るもの2,286件)の中では、34件で、10位と下位です。下請事業者が親事業者から製品を返品された場合、他に転売することも難しく、資金繰りが難しくなります。

返品

(1)条文

第4条 

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。

四  下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。

 

(2)意義・趣旨

親事業者が下請事業者に対し、一旦受け取った物品等を返品する場合があります。

このような場合、下請けにより製造した部品は個性のあるものであり、下請事業者が他に転用したり、転売することは難しい場合が多いものです。

原料代を支払ったのに、製品を返品され、完成した製品の代金を得られなければ、下請事業者は、資金繰りに支障をきたしかねません。

そこで、親事業者の返品の禁止が規定されました。

  

(3)適用例

平成23年度の勧告件数は、18件中3件、平成23年度の指導件数(11禁止行為類型に限る。)は、2,286件中34件(1%)です。

例えば、以下のような例があります。

 

親事業者は、下請事業者に対し、衣料品等の製造を委託していた。親事業者は、下請事業者の製造した商品を受領した後、販売期間の終了した在庫商品について、色・サイズ等ごとに仕分け、仕上げ直しを行った上で次の販売期間に再納品させるため、販売期間の終了した在庫商品を「一時返品特約」に基づき引き取らせていた。

 

親事業者は、下請事業者に対し、靴等の製造を委託していた。親事業者は、下請事業者の製造した商品を受領した後、自社の店舗を改装・閉店する際または販売期間が終了した際の在庫商品を引き取らせていた。

 

親事業者は、下請事業者に対し、衣料品等の製造を委託していた。親事業者は、下請事業者の製造した商品を受領した後、販売期間が終了し在庫となった季節商品であること、売行きが悪く在庫となった商品であること等を理由としてまたは受領後6か月を経過して引き取らせていた。

 

(4)わかりにくい条文へのアテハメの仕方

本項の書きぶりは、「次の各号に掲げる行為をしてはならない」と規定してあります。ですから、文言上、原則として、受領を拒否すれば違反行為になります

 

しかし、1号には、「下請事業者の責に帰すべき理由」がないのに、との前置きがあります。このため、下請事業者に帰責事由があれば違反行為に当たらないということになります。

 

では、「下請事業者の責に帰すべき理由」とは何でしょうか。ここまでは、前回紹介した「受領拒絶」の規定の仕方と同じです。

下請事業者の給付の内容が三条書面に明記された委託内容(または契約内容)と異なる場合がこれに当たると解されます。

ただし、検査方法について、自社でするか否か、全量検査あるいはサンプル検査か、検査対象について、瑕疵(欠陥)が外観上容易に発見できるか否か、種々の組み合わせがあります。そこで、公正取引委員会は、この条文を補充するため、運用基準を公表しています。少々複雑ですが、その基準によれば、検査方法と返品期間について次のように整理されています。

 

今回、上記の適用例で挙げた例は、全て平成23年度に公正取引委員会が勧告した事例です。いずれも親事業者は知名度の高い会社でした。それでも、自社の利益の獲得に気を取られ、それを言われると下請事業者も負い目を感じるような理由をつけて、見込み違いの売れ残りの引き取りを求めてきました。

親事業者の言うことが疑わしい場合には、上のチャートに当てはめてみてください。

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