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独占禁止法

平成25年5月10日

12.中小企業から見た独禁法 ―受領拒否―

今回は、受領拒否です。受領拒否は、平成23年度の勧告(18件)中に1件あります。指導(11の違法類型に係るもの2,286件)の中では、38件で、9位と下位です。下請事業者が親事業者から製品の受け取りを拒否された場合、他に転売することも難しく、資金繰りが難しくなります。

受領拒否

(1)条文

第4条 

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。

一 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。

 

(2)意義・趣旨

親事業者が下請事業者に対し、物品等の受け取りを拒否する場合があります。

このような場合、下請けにより製造した部品は個性のあるものであり、下請事業者が他に転用したり、転売することは難しい場合が多いものです。

原料代を支払ったのに、製品の受け取りを拒絶され、完成した製品の代金を得られなければ、下請事業者は、資金繰りに支障をきたしかねません。

そこで、親事業者の受領拒否の禁止が規定されました。

 

(3)適用例

平成23年度の勧告件数は、18件中1件、平成23年度の指導件数(11禁止行為類型に限る。)は、2,286件中38件(2%)です。

例えば、以下のような例があります。

 

親事業者は、下請事業者に対し、陶磁器等の製造を委託していた。親事業者は、発注書面に発注数量の全量を受領する期限として記載した「予約期間」の末日が経過しているにもかかわらず、発注数量の一部について、製品を受領せず、その後に必要に応じ受領した。

 

親事業者は、下請事業者に対し、自動車部品の製造を委託していた。親事業者は、取引先からの注文が取り消されたことを理由に、予め定められた納期に、下請事業者の製品を受領しなかった。

 

親事業者は、下請事業者に対し、システムプログラムの開発等を委託していた。親事業者は、その仕様を変更したことを理由に、予め定められた納期に、下請事業者の成果物を受領しなかった。

 

(4)わかりにくい条文へのアテハメの仕方

本項の書きぶりは、「次の各号に掲げる行為をしてはならない」と規定してあります。ですから、文言上、原則として、受領を拒否すれば違反行為になります

 

しかし、1号には、「下請事業者の責に帰すべき理由」がないのに、との前置きがあります。このため、下請事業者に帰責事由があれば違反行為に当たらないということになります。

 

では、「下請事業者の責に帰すべき理由」とは何でしょうか

①下請事業者の給付の内容が三条書面に明記された委託内容(または契約内容)と異なる場合

②下請事業者の給付が三条書面に明記された納期に行われない場合

がこれに当たると解されます。

具体的には、前者では、仕様または数量が三条書面の定めと異なる場合などがあげられます。

 

「受領」は、簡潔にいえば、製品を受け取ることです。受け取った日は、下請法上、最長で60日間の請負代金の支払期限を決める重要な起算点ということでした(支払遅延の解説参照)。

 

「受領を拒む」とは、簡単にいえば、下請事業者の製品の全部または一部を予め定められた納期に受け取らないことです。ですから、①納期を延期することでも、②発注を取り消すことでも、予め定められた納期に受け取らないという結果になる以上これに当たります。

 

親事業者は、下請事業者に発注後、取引先から注文を取り消された、見込み違いで売り上げが伸びず在庫が増えた、とりあえず入庫してもらい売れた分だけ支払う(コック方式)などと、手を替え品を替え、理屈をつけてくることが観察されています。これに惑わされないためには、淡々と、三条書面の文言に照らして、その要件に当たる事実だけを拾い、アテハメすることです。

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